気仙沼「海の市」復活

 

IMG_65971784356202_26IMG_65904年前のあの日、私は自宅TV画面で、自分が設計に携わった「海の市」が大津波に直撃され渦の中で孤立するのを目撃しました。船舶や自動車が目の前を流されていました。まさかこんな光景を現実に、目の当たりにするとは、信じられませんでした。

1995年この施設を設計したとき、過去に5m以上の津波が来た事はレクチャーされてはいたのですが、そこまで考慮すると施設計画自体が成り立たないということで決着し、1.5m程度までの対策として防潮板を準備していましたが、、、

当時気仙沼はすでに主力産業の水産業が衰退傾向にあり、私には街がなんとなくどんよりとしてるように見えました。そこで「街に元気を」をデザインテーマにしました。斬新な形態、ビビットな配色、内部のやっちゃ場的賑わいのある市場など、

http://s-itoh.sakura.ne.jp/works/けせんぬま海鮮魚市場「海の市」

おかげで気仙沼の観光拠点のひとつとしてすっかり定着、市民のみなさんにも愛され、安定的に営業を続けていたのですが。

震災半年後に現地を訪れたら、2階の床上膝あたりまで波はきたそうで、1階は柱だけを残しスケルトン状態、2階以上は奇跡的にその形を保っていました。地盤も1.5m以上沈下してしまい、撤去せざるえないかと思われたのですが、4年後の今年5月復活しました。

222678shop_photo01当初より1階の天井を5.5mと高くしていたので、既存のまま1階床を1.5mかさ上げしてもなんとか使える空間となったことがラッキーでした。諸処の事情で今回の計画には係れませんでしたが、自分が生み出した施設があの大津波に負けずに復活できたことはほんとにうれしいかぎりです。客足はまだまだ震災前にはほど遠く出店者さんの営業も苦しいようですが、あの大津波を乗り越えた力でがんばってほしいものです。http://www.uminoichi.com/#shopIntro

 

 

 

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